陸前高田で育ち、地元に根ざす「食」の拠点を目指して
陸前高田市の中心市街地から少し離れた落ち着いた場所に佇む「Dinig しば多」は、2015年11月にオープンしました。厳選したお酒と料理を堪能できる居酒屋として、地元の皆様に愛され続けています。
店主の柴田隼人さんは、陸前高田市高田町出身。子どもの頃から料理が好きで、高校卒業後に飲食の世界へ入り、市内の飲食店で経験を積みながら、独立への準備を重ねてきました。
転機となったのは東日本大震災。震災で自宅を失うという大きな出来事を経て、「家を建てるのに借金をして、もう一つ借金してもいいかなって(笑)。震災を生き残ったから、何とかなるんじゃないかって良い意味で感覚が変わったんです」。
当時すでに3人の子どもを育てていたこともあり、家族の心配は大きかったといいます。それでも最後は、「そこまで本気なら」と背中を押してもらい、店を構えることができました。

その後、柴田さんは2020年12月、陸前高田市気仙町今泉地区に誕生した商業施設「陸前高田 発酵パーク CAMOCY(カモシー)」内に、2店舗目となる「DELI and BENTO gentil(ジャンティー)」をオープンしました。

「DELI and BENTO gentil(ジャンティー)」
変化を受け入れながら、積み重ねてきた10年
お店を始めてからの10年は、決して順風満帆な道のりではありませんでした。中でも大きな影響を受けたのが、約4年にわたって続いたコロナ禍です。人の往来が制限され、テイクアウトのみで営業する時期もあり、「10年と言いながら、体感としては6年ほどに感じる」と振り返ります。
コロナが落ち着いた後も、物価高騰など新たな課題が続き、飲食業界を取り巻く環境は大きく揺れ動いてきました。そうした中で強く実感したのが、「その時代、その状況に合わせて変わり続けなければ、店は続けられない」ということです。
宴会中心だった店づくりから、女子会や家族連れでも利用しやすい形へと少しずつ方向転換。営業形態の見直しやテイクアウトへの対応、店内禁煙への決断など、試行錯誤を重ねながら、ダイニングしば多は少しずつ姿を変えてきました。
思うように新しいことができず、気持ちが沈む時期もありましたが、環境のせいにするのではなく、「今できる形」を探し続けてきたといいます。最近になってようやく余裕が生まれ、新メニューを考えるなど、再び店づくりを楽しめる感覚も戻ってきました。

予測できない出来事が起こるからこそ、変化を受け入れながら積み重ねてきた10年。その一つひとつが、今の「Dining しば多」を支える確かな土台となっています。
目利きと経験が生む、料理
ダイニングしば多の特徴は、仕入れから調理までを店主が一貫して担っていることです。三陸の海の恵みを活かした旬の魚料理を中心に、食べ応えのあるステーキや、ひとクセある一品まで、幅広いメニューを楽しむことができます。
開店当初は、店主自ら市場に足を運び、その日納得した魚だけを仕入れることを大切にしてきました。現在は仲卸との信頼関係も築かれ、店に立ちながらでも質の高い魚が安定して入る体制が整っています。目利きと経験に裏打ちされた仕入れが、店の味を支えています。



ニンニクと一緒に食べるのが最高!!
料理づくりにおいて店主が大切にしているのは、無駄のない動きと、作る楽しさの両立です。効率を意識しながらも妥協はせず、あえて手間のかかる料理を差し込むこともあるといいます。
「『もうちょっと普通の料理を並べれば良いじゃん』ってよく言われるんですけど、それだと自分が面白くないんですよね」
そんな率直な想いから、定番にとらわれすぎず、その時々で最良と思える一皿を届け続けてきました。
複数の店舗を行き来しながら、今も日々厨房に立ち続ける柴田さん。その姿勢と積み重ねが、Diningしば多ならではの個性となり、10年にわたって多くの人に親しまれてきました。
陸前高田の「食」の可能性を、次のかたちへ
柴田さんが描くこれからの目標は、自身が前に立つことではなく、陸前高田の「食」の可能性を広げていくことです。魚や野菜、果物など、豊かな食材に恵まれたこのまちには、まだ発信できる魅力があると感じています。近年は狩猟免許を取得し、ジビエにも注目。将来的には、地域で適切に加工・流通された肉と地元食材を組み合わせ、新たな食のかたちが生まれる土壌づくりに関われたらと考えています。

料理人としての技術を磨きながら、あくまで裏方として地域に静かに関わること。「実はあの人が関わっていたらしい」と語られるような存在でいることが、柴田さんの理想での立ち位置であり、これからの目標です。
しみんエネルギーと契約いただいた経緯
カモシーを立ち上げた頃、ちょうど動き出していて、陸前高田にエネルギー会社をつくる、という話を聞きました。小出さんや内藤さんたちから考え方や方向性を聞いて、「なるほどな」と、すごく素直に腑に落ちたのを覚えています。
言い方は少し大げさかもしれませんけど、洗脳されたというか(笑)、それくらい納得感がありました。「陸前高田にエネルギー会社をつくる」という構想や目的そのものに共感した、という感覚でしたね。
契約する時も、何kWでいくら、といった細かい条件はほとんど気にしていませんでした。市外に出ていっていた電気代が、市内で循環する。それだけで十分だと思っていましたし、正直、電気代が安くなる必要性すら感じていなかったです。
知らない会社に払うより、知っている人たちがやっている会社に払う。その安心感の方が、自分にとってはずっと大きかったですね。そのためなら、月に500円くらい高くなってもいいと思っています。

しみんエネルギーへエールをお願いします
高田の電力を、できるだけ高田でまかなっていくという目標は、本当に応援しています。
自分自身は電気にとても詳しいわけではありませんが、できることがあれば手伝いたいと思っています。
地方で電力会社を立ち上げている例はいくつかあると思いますが、その中でも、お手本になるような会社になってほしいですね。
「高田のエネルギー会社、面白いよ」
そんなふうに言われる存在になったら、とても良いなと思います。
| 店舗情報 |
| 【Dining しば多】 陸前高田市高田町西和野108-1 TEL:0192-22-7791 定休日:水曜日 営業時間:17:00~23:00 Instagram:https://www.instagram.com/diningsibata/ 【DELI and BENTO gentil(ジャンティー)】 陸前高田市気仙町字町308-5 陸前高田 発酵パークCAMOCY(カモシー)内 TEL:070-1362-6219 定休日:火曜日 営業時間:11:00~18:00 Instagram: https://www.instagram.com/deli_and_bento__gentil/ |

